【DIY】冷却水漏れのヘッドガスケットを交換する手順

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【DIY】冷却水漏れのヘッドガスケットを交換する手順

ヘッドガスケット交換を行った際の作業記録となります。

作業を行った車両は以下です。

メーカー:スズキ
車両:ワゴンR
年式:平成12年
型式:GF-MC11S
エンジン型式:F6A

ヘッドガスケット交換に至った経緯

走行距離約12万kmでシリンダーブロックとシリンダーヘッドの間から水漏れが発生していました。
なぜ気付いたかというと、LLCが少なくなったことによるオーバーヒートがきっかけで、完全に私の日常点検不足です。

そろそろ乗り換えを考えていた時期だったので、ダメ元で勉強がてらに自分で修理することを決意しました。

作業を行う前の準備(ディーラー様にて)

まずはディーラーに行き、これからヘッドガスケット交換をしたいことを伝えて、必要になる部品を教えて頂き部品を手配しました。
その際、サービスマニュアル(整備専用の取説みたいなもの)のコピーを頂いて帰宅してから内容を確認し、作業のイメージを行いました。

後日、部品が納品されたということで引き取りに行った際、サービスマニュアル内で不明な点や疑問を持った点があったので質問すると、親切に教えて頂きました。

ヘッドガスケット交換の為の準備部材

・工具一式
・部品(ガスケット等)
・ウエス
・パーツクリーナー
・CRC 5-56
・オイル、LLC受け容器
・再投入用オイル、LLC
etc.

作業内容

部品取外し①(ファンベルト、エンジンマウント、タイミングベルト等含む)

初めにバッテリーの端子を外します。

オイル、ロングライフクーラント(LLC)を抜きます。
※吹き出し、火傷の危険があるのでエンジンが冷えた状態で作業します。

部品をどんどん取り外していきます。
これから取り外すボルトやコネクタ類、ホース類等は無くさないように管理し、且つどこの部品かわかるようにしておきます。
手が汚くなっていくので億劫ですが、写真を残すのも安心材料になります。

インタークーラーとエアクリーナーを取り外した写真です。
配管の中に異物が入らない様にビニールで蓋をしました。

アクセルワイヤーも外します。

フロントバンパーを外します。
正面のセンターに上下に渡ったステーを取り外します。
写真の左に映っているのが取り外したステーですが、ボンネット開用のワイヤーが取り付いているので取り外します。

この後取り外していくであろうボルト類にCRC 5-56を吹き掛けて浸透させておきます。
特に熱が加わって焼き付いていそうな排気配管のボルトの隙間には大量に吹き掛けました。
時間を掛けて浸透させることでボルトの捻じ切り等を防止し、取り外しやすくなるので先にこの作業を行っておきます。

シリンダヘッドの排気側を外したのはこの部分です。

シリンダーヘッドを取り外す為に邪魔になるコネクタ類やホース類を外します。

ファンベルトも取り外します。
以前の記事を参考にして下さい。

ブローオフバルブが付いているパイプを取り外しました。
このパイプの固定ネジの内1本が工具の回転距離が十分に取れず苦戦しました。
私は2種類のレンチで回転角度を補いながら少しずつボルトを回転させましたが、作業時間を短縮するには工具が必要なことをつくづく感じました。。。

次にタイミングベルトの取り外しに取り掛かろうと思います。
このエンジンは右側のエンジンマウントを取らないとタイミングベルトが取り外せない構造でした。

エンジンマウントを外してしまうと当たり前ですがエンジンが垂れ下がるので支えを用意します。
パンタジャッキに木の板を載せて、オイルパン(極力パンの中央を避けて)を支えてました。
その状態でエンジンマウントの固定ボルトを外していきます。

支えがあるお陰で何事もなく取り外せました。

先ほどのパイプと、エンジンマウントの固定を外すとこの様になりました。
タービンの羽根が丸見えです。
このエンジンはオイルエレメント(オイルフィルター)がここにあります。
普段の交換ではバンパーは外さずにナンバープレートだけ外せば見えます。

オイルレベルゲージと、クランク・ウォーターポンプのプーリーを外すとタイミングベルトカバーはこの様に見えます。

この時インパクトがなかったのでクランクプーリを外すときはフライホイールのギヤにマイナスドライバを嚙み込まして回転止めとしてボルトを外しました。

カバー外周のボルトを外すと、ようやくタイミングベルトが出てきました。

本来の作業では合いマークによって第1気筒を排気上死点または圧縮上死点とするようですが、今回はそのままの位置で進めていきました。

取り外したタイミングベルトカバーはこの様な形です。

タイミングベルトのアップです。
インボリュート曲線で作られているみたいですね。

プーリーの位置を合わせる「合いマーク」がありましたが、合いマークは気にせず、今回は止まっていた位置で取り外したベルトをそのまま同じ状態で取り付ける予定なのでそのまま進みました。

取り外す前にベルトと最上下プーリー(クランク、バルブは必須)に、位置と方向がわかるMy合いマークの印を付けました。
印の付け方のセンスの無さはご容赦下さい。。。
ただ、この汚い印が組付けに活躍してくれました。

ガスケット交換に関する部品紹介

ここで、今回の修理に対してディーラで購入した部品のご紹介です。
様々なガスケット、パッキン、シールを購入をしましたが、ついでに交換できるものだけ使用し、その他の異常がないものに関しては交換せずに使用しませんでした。

細かいガスケット関係は、各数百円程度

ついでに交換できるのでサーモスタット(82℃)も購入しました。
1,500円程度

肝心のヘッドガスケットはその他のパッキン関係とセット販売の様です。
13,000円程度

今回の主役ヘッドガスケットです。
それなりに厚みがあり様々なガスケットの中でも一際目立つ存在です。

上下を示す「TOP」の刻印もあります。
何の型番かわかりませんが「261」の刻印もありました。

部品取外し②・組付け作業

サーモスタットの交換を行います。
場所はディストリビューターの付け根の奥側付近にありました。
特に問題はありませんでしたが、ついでなので交換しました。

左:旧 右:新

続いてタイミングベルトの取り外しを行います。
このエンジンのベルトはオートテンショナーではないので現時点の張り具合を覚えておき、組付けの際に再現しました。
テンションメーター等があれば再現性は格段に良くなると思いますが、持っていないので手の感覚を信じます。
ベルト組付け時のテンションが張り過ぎだと切れる恐れもあるので、緩くても強くても良くないようです。

その為テンショナーにも合いマークを書きましたが、再現性の悪そうな印になってしまいました。。。

テンショナーのセンターのボルトを緩めるとベルトが取り外せます。
この際プーリーが回転しない様に注意しました。
確かめてないので、どの程度の力で回転するかわわかりませんでした。

ベルトを取り外した状態がこちら。

次はエンジンの上面のタペットカバーを取り外します。
これは単にボルトを外すのみで取り外せました。

取り外し後のタペットカバー裏面の状態と、カムシャフトの状態です。

ここのパッキンはセットの中に入っていました。

次にカムシャフト横のカバーが外れないと分解できないのではないかと思い、触りたくなかったカムシャフトのプーリーをなくなく外すことにしました。
(取り外しましたが組付けの際はMy合いマークのお陰で再現できました。)

取り外し後に思いましたが、「もしかしたらカバーの下側のボルトだけ取り外せば分解できたのではないか?!
追及することをやめてしまったので不確かですが、プーリーを外さなくていいのであればその方がいいと思います。

ここまでくるとシリンダヘッドの固定ボルトを外すだけで分解できる様になります。

意気揚々と取り外すと残っていたLLCがシリンダの中に降り注ぎました。。。
失敗したと思いながら見ていましたが、その場に液が留まっていることを見るとしっかりとピストンリングが効いていることが感じ取れました。
数億往復?加熱された状態で動いているのに効果を発揮していることが素晴らしいです。

ヘッドガスケットは悲惨な状態でした。

これは水漏れを起こしても仕方がない状態です。
定かではありませんが以前にブーストアップを試したことも原因なのかもしれません。。。

取り外したシリンダヘッドです。
スロットルバルブ~エキマニ(タービンと繋がっている3本のボルトで外れます)とディストリビューターがくっ付いた状態で外しました。

バルブ表面は吸気と排気で状態が異なりました。
同じ燃焼室内にあるのにここまでの違いが出ることに驚きでした。
やはり吸気と排気の温度が関係しているのですね。

今まで頑張ってくれていたヘッドガスケットを取り外します。
くたくたになるまで耐えてくれていた様です。

取り外したウォーターポンプです。
せっかくなので交換してもいいですが、このエンジンは以前に交換済みなのでそのままです。

ヘッドガスケットを取り外した後、スクレーパーで少し綺麗にしたシリンダブロックです。

この後は写真を残していなかったので、申し訳ありませんが文書でご容赦下さい。

スクレーパー後はオイルストーンで更にきれいに仕上げていきます。
もちろんシリンダヘッドも同様に行います。

綺麗になったら新品のヘッドガスケットを載せてヘッドを固定していきます。
ここでのボルト固定はトルク管理されているので要注意です。

NA車(F6A):59N・m(600kgf・cm)
ターボ車(F6A):69N・m(700kgf・cm)

上記のトルクで締め付けるには合計3回に分けて締め付ける必要がありました。
まずは規定トルクの50%、次に80%、そして規定トルクでの締め付けです。
つまりこのエンジンはターボ車なので、まず50%(34.5N・m)、次に80%(55.2N・m)、そして規定トルク(69N・m)という順序です。

範囲が広い部品を固定する際は中央から外側に向かって順番にボルトを締め付けるのがセオリーです。

この箇所以外にもトルク管理されているところがあり、ディーラで教えて頂いたので2本のトルクレンチを今回の作業で使用しました。
ここでケチると今までの作業が水の泡になる可能性が。。。

あとは全ての部品を逆手順で取り付けていきます。

タイミングベルトは位置を確実に合わせて、テンションの注意も行って取り付けます。

部品が完全に取り付いたら、エンジンオイル・LLCを入れます。

部品組付け後の始動

バッテリーを繋いでエンジンを始動し、アイドリング状態でしばらく状況を確認しておきます。
LLCにエア噛みがあると問題が出るかもしれないので水温計などを注意しておきます。

エンジンが温まってくると、CRCを噴き付けた箇所からは白煙が出ますが問題ありません。
1時間程度すると、ようやく収まりました。

この状態で問題なく走行でき、水漏れも無かったので今回の整備は成功だと思います。
ここまでの作業内容はあくまで参考であり、作業は自己責任でお願いします。

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